〜1本のバインミーが僕の心に火を灯した〜
僕がなぜベトナムの店を始めようと思ったのか。
きっかけは、2023年に行ったベトナム旅行でした。
その時の僕は、何か特別に悪いことが起きたわけでもないのに、
原因不明の気力のなさを抱えていました。
体は動く。でも心が動かない。なんだか何をしても楽しくない。そんな状態でした。
そんな中、ベトナム旅行に行くことになりました。
行くことになったのも、友人が半ば強制的にチケットを手配し、僕を連れ出してくれたからです。
そうでもしないと、多分僕は動かなかったと思います。
ベトナムへ飛び立つ直前、成田空港で僕は
「ベトナム旅行しても別に何か変わるってわけでもないと思います」と、
今思えば友人に対してとても失礼な発言をしてしまいました。
そんな中、ベトナムに着き、「あ~、これがベトナムか~」くらいの低いテンションでタクシーに乗り、
その日の夕方、バインミーとベトナムコーヒーのお店に行きました。
うまい。なんだこれ。衝撃が走りました。
数年ぶりに心が動いた瞬間は、今でも鮮明に覚えています。
大袈裟に聞こえるかもしれませんが、本当です。
バインミーにかじりつきながら、ベトナムの「色」が明るくて、音楽もたくさん鳴っていて、
騒がしさの中に活気を感じ、無秩序に見えるバイクだらけの道にも秩序を発見し……
僕の心は、たった1本のバインミーと、たった1杯のベトナムコーヒーによってゆるみ、
ワクワクが止まらなくなっていきました。
僕は元々、何にでも興味があり、好奇心が強く活発なタイプでした。
でも、会社の経営や日々の仕事をこなしていく中で、必要以上に感化されてはならない。
感情で決めてはならない。感じたことよりも、数字で証明されたことを信用すべきである。
そんな感覚で、冷静さと、時には冷酷な判断をしなければならない立場が
20代前半から10年ほど続いてきたせいか、心がカチカチに固まっていたように思います。
それが、バインミーたった1本でゆるみ、
次の日からはベトナムの空気を全身で浴び、受け取れるようになっていきました。
ベトナムの色使いを感じ、うるささを感じ、人同士の距離の近さを感じ、
どんどん本当の自分を取り戻していったように思います。
あの初日のバインミーが、僕の好奇心や、子供の頃のようなワクワクを
呼び覚ますきっかけになってくれたと言っても過言ではありません。
帰国後も、どうにかしてあの雰囲気を身近に味わいたい。他の人にも味わってもらいたい。
そういう思いが日に日に強くなっていき、あれから3年後、
滋賀県高島市にバインミーとベトナムコーヒーのお店「AN'D BÁNH MÌ」1号店をオープンしました。
こだわりにこだわり抜いた本場の味。程よい距離の近さ。肩肘張らない、良いゆるさ。
そして、本場の音楽、本場のお土産品、本場の装飾。
目、耳、手触り、匂い、味。
五感すべてでベトナムを感じていただければ、
もしかしたら過去の僕と同じような状態の方の心にも
再び火が灯り、いい方向に動くかもしれません。
絶好調の方にとっても、
新しい味や雰囲気を感じていただくことで、
さらに活力が湧いてくる。
そんな場所にしたいと思っています。








































.webp)

.webp)











.webp)
.webp)